最近、よく速度の速いインターネットを使う為にはIPv6に切り替えるという記事がよく見られますが、そもそもIPv6とはなんなのでしょうか?
筆者は土木工学が専門の理系サラリーマンですが、色々と調べて、できる限りわかりやすくまとめてみました。
IPv6の概要
IPv6とはIPv4の後継となる次世代のインターネットプロトコルです。
現在主流のIPv4と比較してアドレスが128ビットに拡張されており、膨大な数のアドレス付与が可能となり、IPv6では数的に地球上のあらゆるものをインターネットへ接続できるようになります。
なんだか難しそう、、、。そもそもインターネットプロトコルってなんだっけ?
それから、IPoE方式っていうのも最近よく聞くんだけどなんのこと?
その辺りについても次からできるだけ簡単にまとめます。
インターネットプロトコルとは
インターネットプロトコル(Internet Protocol、IP)とはインターネットにおける主要な通信規約になります。(通信規約:あらかじめ通信を行うもの同士で通信に関する取り決めや規格のこと)
ネットワークに接続されているすべてのコンピュータに対してIPアドレスと言われる電話番号の様な番号を付与し、その番号を用いて通信相手の指定をします。
IPアドレスってよくIPって言ってるやつってことだよね。
よく会社でもIP見せて!とか、このIPを指定して!とかいうよね〜!
実はIPはインターネットプロトコル自体のことを本来は指しているんです。だからIP = IPアドレスは誤用なんです。でも日常的にはそれで伝わるからいいと思います。
つまり、現基準であるIPv4、新規格であるIPv6も同じインターネットプロトコルだけど、IPアドレスの記述方法の決まりが違うというイメージになります。
IPv6よりもIPv4よりも早いの?
IPv4は32ビットのデータとして表します。32ビットとはつまり2の32乗、42億9496万7296台のデバイスが接続することが可能です。しかし、近年の通信デバイスの急速な増加によりIPアドレスが枯渇することとなりました。
そこでIPv6が作られました。IPアドレスは、128ビット、3.4×10^34個=約340澗(かん)個となります。実質無限にIPアドレスを振ることができるということになります。。
宅内端末などに付与されるIPvアドレスはMACアドレスをベースに自動設定されることから、利用者はIPv6アドレスの設計や設定が基本的に不要となります。潤沢なアドレス空間によりIoTに対応した機器がIPv6アドレスを使える様になります。
たくさんIPアドレスを振れるのはわかったけど、IPv6にすればそれだけでインターネットの速度が上がるってこと?
実は誤解している人が多いんですが、IPv6だからインターネットが早いというのは少し違うんです。それを理解する為にPPPoEと、IPoEについて説明します。
IPoE方式とPPPoE方式とは?
IPv6の速度がIPv4より早いと言われる所以を説明する前に、接続方式であるPPPoE方式と、IPoE方式について説明します。
PPPoE方式とは?
PPPoE(PPP over Ethernet)方式とは、電話回線を前提としたルールである「PPP(Point-to-Point Protocol)」をイーサネット(※オフィスや一般家庭で使われているネットワーク)へ応用した接続方式です。
PPPとは、電話回線を使ったダイヤルアップ接続でインターネットにアクセスしていた時代に用いられていたルールです。その後ADSLなどの高速インターネット回線が登場しに合わせ作られたのがPPPoEという接続方式です。
PPPoEはネットワークにつなぐ際、NTE(Network Termination Equipment)と呼ばれる終端装置を通過します。
この装置は、ISP(プロバイダー)ごとに用意され、1つのネットワーク終端装置に対して収容できるセッション数(≒ユーザー数)が決められています。通信量が急増していることにより、このNTEがボトルネックとなり、ユーザーのインターネット速度が低下してしまいます。
IPoE方式とは
一方、IPoE方式は、初めからイーサネットを通信に使う前提で開発されているため、「ネイティブ方式」と呼ばれることもあります。PPPoE方式に比べてIPoE方式は接続設備の大容量化など、通信設備に関して、ゆとりを持たせた設計になっており、安定した通信を実現しています。
IPoE方式では大容量のGWR(ゲートウェイルーター)を利用することになります。そのため、ボトルネックとなっていたネットワーク終端装置の混雑が解消され、安定した通信が可能になります。
PPPoEに比べてIPoEが安定した通信ができるのはわかったけど、IPv6とはどんな関係なの?
実はIPoEに対応しているのは、IPv6しかないんです。
このIPoE方式に対応しているのはIPv6しかありません。そのためIPv6が速い=IPoE方式が速いということになります。
IPv6=速いではなくIPv6 IPoE=速い
実はIPv6でもPPPoE接続を選択することが可能です。これにより、上述で説明した様なネットワーク終端装置の混雑によりネットワークの速度低下を引き起こしてしまうこととなります。
じゃあ結局IPv6 IPoEを使わないと意味がないってことね。
ちなみに、今まで使われていたIPv4はどうなるの?
実は本来IPv6はIPv6同士でしか通信できません。
でも安心してください。
IPv4 over IPv6とは
IPv6は本来IPv6同士でしか通信できません。しかし、IPv4 over IPv6は、IPv6パケットの中にIPv4パケットを含めて通信することで、必要に応じてIPv6接続とIPv4接続を選択でき、両方式での通信が可能になりました。
これにより、IPv4(PPPoE)で混雑しがちな網終端装置を通さずにインターネット接続が可能になります。この技術は「トンネリング」と呼ばれています。
IPv6に対応していないIPv4のWebサイトやWebサービスでもIPoE方式で扱うことができ。
そうなんだね!じゃあ自分のインターネットがどの通信方式で通信しているか確認する方法はある?
あります。
IPv6 の確認方法
IPv6で接続しているか確認するWebサイトがあるので、紹介します。
上の画像の様に表示されたら、IPv6を使用していることを確認できます。
まとめ
- IPv6はPPPoE方式よりも高速なIPoE方式の接続を使用することができる。
- IPv4 over IPv6により、 IPv6でも今までのWebサイトを問題なく使用することができる。
- IPv6での接続はWebサイトで確認することができる。